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ウクライナに生まれ、幼い時にモスクワへ移住。ほぼ同時代を生きたセルゲイ・ラフマニノフらとともに、19世紀ロシア・ピアノ楽派の伝統を伝えるピアニストであったサムイル・フェインベルク(Самуил Фейнберг ; Samuil Feinberg, 1890- 1962)。
彼が最も力を注いだのがバッハの鍵盤音楽(スクリャービンも凄かったらしい)。
伝説の指揮者、ハンス・フォン・ビューローが、ベートーヴェンの『ピアノ・ソナタ』全32曲をピアノ音楽の「新約聖書」と称え、バッハの『平均律クラーヴィア曲集第1巻および第2巻』 全48曲を「旧約聖書」と称えたその『平均律』も全曲レコーディングしており、彼を代表する名盤である。
ロシアのピアニストによる『平均律』と言えば、圧倒的にスヴャトスラフ・リヒテルの名盤、そして日本ではタチアナ・ニコラーエワの録音も評価が高いが、1950年代に録音されたフェインベルクの録音の再評価が進んだ(というより、知られるようになった)のはここ20年くらいのことではなかろうか?
私自身もその存在を知ったのは20数年前のことであり、ニコラーエワのCDを好んで聴いていた頃、更に時代を遡るとロシアにはすごいバッハ弾きがいた、という話を聞いてフェインベルクによる第2巻の古いメロディア盤を手に入れた次第。
1950年代末のソビエトでの録音なので当然モノラル。しかし、アンサンブルの録音ではなく、ピアノ一本の音なので、却って音の芯がしっかりとして、真空管機器を使った素朴なレコーディングが功を奏しているように思う。
後に第1巻も手に入れたが、フェインベルクの魅力は第2巻の方がより伝わってくるように思う。
第1巻は1722年、器楽曲の傑作が多く生み出されたケーテンの宮廷楽長時代最後期の作品であるのに対し、第2巻はバッハが生涯の最終コーナーに差し掛かった頃、1742年に最終的に完成した作品だ。前者がバッハ自身がそう述べている通り、教育的目的も視野に入れて書かれた作品であるのに対し、後者は純粋にバッハの音楽的精神の発露による作品と言ってよく、その音楽性は第1巻より高い。
それは同じく最終コーナーに入って作曲された『フーガに技法』や『音楽のささげもの』同様、「誰かのため」に書かれた作品でなく(『音楽のささげもの』はフリードリヒ大王に献呈はされているものの)、バッハがその人生の集大成として「自分のために」作曲した作品と言ってよい。そしてそんな「頭脳的」で「理論的」で「構築性の高い」これらの作品を「時代遅れ」と、憚ることなく吹聴する者たちさえ出てきたのである。
フェインベルクのピアノにはそんなバッハの最終コーナーを思わせるものだ。一言で言えばそれは「宇宙」。無限に広がる宇宙空間に放り出され、地球の姿を自分の目で臨むようなスケール感を伴った、えも言われぬ感覚だ。
冒頭を飾る『第1番 ハ長調 プレリュードとフーガ』BWV 870の【ターンテーブル動画】をお楽しみください。
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