加藤 貴子×木下 望 仕事のこと、家族のこと、幸せのこと、そして静岡のこと、ゆっくり話してみよう

3月22日は日曜日でしたが、1か月ぶりに行きつけの床屋さんに行きつつ、ある番組を完パケするために会社へ行ってきました。

独身の頃は休日といってもこれと言ってやることもなく、さらに仕事をするのが単純に好きだったので、完全なサービス出勤でよくスタジオ籠りをしたものです。ほとんど人のいないスタジオ・フロア―で、誰にも邪魔されることなく、ひとりで番組を作るのは、実に気持ちのいい時間の過ごし方だったと思います。
「働き方改革」という言葉もなかった平和な時代のお話です。

完パケしたのは、いよいよ今度の日曜日、29日の19:00~20:00に放送される特別番組「加藤 貴子×木下 望 仕事のこと、家族のこと、幸せのこと、そして静岡のこと、ゆっくり話してみよう」です。
このブログでも2月19日3月10日に「匂わし文章」を掲載しました。

3月10日に先走って宣言してしまいましたが、今日、完パケを終えて、やはりそう思いました。「この番組は、私のキャリアの中の最高傑作」だと。32年間、K-mixで番組制作と編成の仕事をずっと続けてきて本当によかったと・・・。

放送される前のネタバレはもちろんいたしません。しかし、何故この番組がこうして出来上がって、放送される日を待つばかりになったのか? については是非お話しさせていただきたいと思います。


この番組を発案するきっかけは、もう3年前に遡ります。


「STARMARIEのファンタジートラベラー」(土 20:00~20:30)が2017年4月1日にどのような経緯でスタートしたかについては、昨年9月15日にこのブログでその仔細を記しました。

そこにも書いたように「高谷祐介」というとてつもない人間との出会いから、STARMARIEと私の「旅」は始まっています。そして2017年3月10日(金)、木下望(のんちゃん)という、その後、現在に至るまでこれまた私のクリエイティヴィティをとことん刺激するひとりの女性に出会ったこと、それこそが今回の番組の源泉です。

この日、「初めまして」ののんちゃんでしたが、いきなり、その甘い、それを聞いた者ならしばらくは脳裏を離れないであろうその「声」に魅了され、そしてとても懐かしい感情がフワッと心に現れました。


私はのんちゃんに「加藤貴子さんっていう女優さん、知ってる?」と尋ねました。するとのんちゃんは「はい、知ってます。大好きです。『温泉へ行こう』、私もママも大好きです!」と答えてくれました。それは話が早いと思い、私はこんなことを彼女に話しました。

「加藤貴子さん、実はアイドルでデビューして、その後女優さんになったんだけど、アイドル時代にうちで番組一緒にやっていたんだ。で、思ったんだけど、のんちゃんの声と彼女の声は何だかとても似てる、と思って。」と。
「アニメ声」と言ってしまえば、それで終わってしまうかもしれないけれど、のんちゃんと加藤貴子さんの声は確かに似ていて、人を魅了する、「その人のことをもっと知りたくなる声」だと思ったのです。


そう、私は1990年3月に3人組アイドル・ユニット「Lip’s」のメンバーとして芸能界デビューした加藤貴子さん(貴ちゃん)と、その年の10月から1993年3月まで、一緒に番組をやっていたのです。最初の半年はディレクターとして、そして1991年4月からはディレクター兼パーソナリティ「D.久保っち」として、「アイドル・アカデミー」という深夜番組を2年半の間、一緒にお届けしていたのです。

ご存知のように貴ちゃんは旧清水市出身で、デビューしてからの1年間は静岡市の短大に通っていて、仕事がある時は実家から新幹線を使って東京に出向いていたのです。そんな「地元在住アイドル」を起用して何か楽しいことができないか? と私と同い年の、そして今でもその男気溢れる仕事っぷりが忘れられない「女性マネージャー」Iさんと画策して、その年の10月から「アイドル・アカデミー」の中に15分コーナーを作って、彼女におしゃべりをしてもらったのです。加藤貴子、人生初めてのラジオ番組です。
その声はもちろん、音声メディアであるラジオで強力な武器になると確信していましたが、それにもまして彼女の何気ない目の付け所、アイドルとしては遅咲きな年齢だからこその、言葉の重み(それが却って声とのギャップになって)がリスナーを引き付けていると実感しました。
そして1991年4月、短大を卒業して東京に居を移した貴ちゃんとIさんに「『アイドル・アカデミー』本体のパーソナリティをやって欲しい、その相手は僕が務めるので。」と言ったのです。
それまで自分が企画したクラシック音楽のレギュラー番組でひとりで訥々としゃべっていた、という経験はありましたが、掛け合いの音楽バラエティはもちろん、初めてです。でも、貴ちゃんとは何故か向き合って、一緒にしゃべりながら番組を作りたい、と思ってしまったのです。
「D.久保っち」の誕生です。
1992年になると、番組は貴ちゃんだけでなく、他の二人のメンバー、吉村夏枝(なっちゃん)と山本京子(京ちゃん)も加わり、私のパートナーは週替わりになったり、月に1回は1対3でやったりと、Lip’sという個性的な、そして恐らく当時最先端のアイドル・ポップスをクリエイトしていたユニット(「最先端過ぎてヒットしなかった」というのが、私と貴ちゃんの共通した見解です)と、それはそれは若さと刺激に満ちた番組をやっていたのです。私がまだ26歳~28歳までの2年半・・・。「仕事がすべて」と思い、まさに休日でも会社に行っては、スタジオ籠りしていたような時代です。

 

 

1993年4月、静岡エフエム放送株式会社は開局10周年を機に、ステーション・ネームを「エフエム静岡」から「K-mix」に改めました。それまでになかったような番組大改編が行われました。そして、「アイドル・アカデミー」は合計5年の命を終えました。
そして、それと同じくしてLip’sも解散しました。
「アイドル・アカデミー」があったから何とかその活動を保っていたのですが、そろそろ潮時だったのだと思います。

女優に転身した貴ちゃんが、連続テレビドラマ「温泉へ行こう」で一躍ブレイクしたのは皆さんよくご存じのことでしょう。その後も「科捜研の女」「GOOD_LUCK!!」「花より男子」といった数々のヒット・ドラマで、名バイプレーヤーとして活躍してきたのです。

因みに「アイドル・アカデミー」の最終回の収録日以来、ほぼ27年間、私は貴ちゃんと一度も顔を合わせたことも、電話や手紙、メールでやり取りしたことさえもまったくありませんでした。単純に接点がなかったのです。唯一、1996年に私が結婚した時、祝電をいただいたことを覚えています。

しかし、のんちゃんと仕事をするようになり、番組やイベントで彼女の思いを聞かされ、彼女のことを深く知りはじめたのをきっかけに、そしてそれがヒントになり、私は「貴ちゃんと会えるかもしれない。会うべき時が来たかもしれない。」と思うようになりました。
決定的にそう思ったのは、2019年6月29日、神田で行われた「木下望 生誕ソロイベント」での彼女のトークを聞いた時です。その時のことは2019年9月25日に「STARMARIEと『旅』をするということ」とタイトルした9月25日付のブログに記しました。
STARMARIEのメンバーとして活動することの意味、今、自分の人生がどんな局面を迎えているのか? そしてそれに対して考え、悩んだ結果、彼女が悟ったことが、「人の幸せのためにこれからも頑張っていきたい。それが私の幸せ」という強い気持ちだったのです。
そして「STARMARIEのファンタジートラベラー」を始めたことが、少なからずそれに影響している、という話も聞いて、その時、「ピーン」ときたのです。大袈裟に言うのではなく、まさに「天からの啓示」だと思いました。

 

「木下望と加藤貴子の対談番組を作ろう。」と。

 

この二人の「声」、「家族が大好き」「地元静岡が大好き」「おバカキャラ、でも決してバカではなく、実は自分の考えをしっかりと持っている」、そして「ラジオの世界に引きずり込んだのが私」という、あまりに多くの共通するポイントは、絶対魅力的なケミストリーを起こすだろう、という思い、また、貴ちゃんが歩んできた道は、きっとのんちゃんの今後の人生において何らかのヒントになるのでは? ちょっとしたおせっかい、そして何よりも私のラジオマンとしての番組を作りたいと思う、強烈な「欲望」が、その思いを強く持たせたのです。

 

番組を作ろうと思った時、5分番組であろうと4時間の生ワイド番組であろうと、まずは企画書を作るところから始まります。表書き、番組企画意図、番組内容、フォーマット、また出演者のプロフィールを添えることもあります。
この特番の企画書を作るのに要した時間は、おそらく1時間に満たなかったと記憶しています。頭の中に既に沸き上がり、ほぼ固まっているものを、あとは文字にし、体裁を整えればよい、という感じでした。
この番組に限らず、番組タイトルを付けるのは私の密やかな楽しみですが、「加藤 貴子×木下 望 仕事のこと、家族のこと、幸せのこと そして静岡のこと、ゆっくり話してみよう」というタイトルは、スルッと落ちてきた、という感じでした。

肝心の放送日は、2019年度最後の日曜日、3月29日に決めました。
「アイドル・アカデミー」の最終回が、1993年3月28日の日曜日、だったからです。本当に27年ぶりなのです。

 

貴ちゃんの所属事務所の担当マネージャーを存じ上げなかったので、マネージメントの「問い合わせフォーム」からご連絡をし、マネージャーさんに連絡が付き、「是非出演させていただきたいです。」と出演快諾をいただきました。

 

このブログを始めて以来、こういうことをしたことはなかったのですが、いい機会なので、実際にどんな企画書が出来上がったのか、今回は皆さんにお見せしたいと思います。

 


K-mix静岡エフエム放送 番組企画書

 

【番組タイトル】
加藤 貴子×木下 望
仕事のこと、家族のこと、幸せのこと そして静岡のこと、ゆっくり話してみよう

【放送日時】
2020年3月29日(日)19:00~20:00(60分プログラム)

【出演】
加藤 貴子・木下 望(STARMARIE)

 


【構成】
高谷 祐介(M-SMILE)・久保田 克敏(K-mix)

【企画・制作】
久保田 克敏(K-mix)

【番組形式】
録音・完全パッケージ

【番組企画意図】
1990年、短大生時代にアイドル・グループ「Lip’s」のメンバーとしてデビュー、約3年の活動を経て、女優に転 身。連続テレビドラマ・シリーズ「温泉へ行こう」の主演を務め一躍注目を浴び、その後も「科捜研の女」「GOOD LUCK!!」「花より団子」などのヒット・ドラマで印象的なバイ・プレーヤーとしても、その存在感を示した加藤 貴子(静岡市清水区出身・49歳)。私生活では40代で2回の高齢出産を経験。
その経験から書籍「大人の授かりBOOK」を執筆。セミナー講師、WEBでの記事執筆なども通じ、妊活について多くのメッセージを発信し、不妊に悩む方を中心に多くの女性から共感を集めている。

一方、高校在学中からアイドル活動を始め、2019年8月に活動歴11年を迎えた木下 望(浜松市
出身・年齢非公開)。木下が所属するSTARMARIEは、「人間の生と死をテーマにした楽曲を、独特且つ激しいダンスとともにパフォーマンスする」という、他のアイドル・グループとは一線を画すコンセプチャルな活動を行っている5人組ファンタジーユニット。中野サンプラザの単独公演を始め、国内はもとより、台湾、フィリピン、マレーシア、香港、アメリカ、メキシコなど、これまで海外公演を100本以上実施、そのグロ―バルな活動に注目が集まっている。


2017年4月、そんな木下望をメインMCとして据えたSTARMARIE初のラジオ番組「STARMARI
Eのファンタジートラベラー」(土曜 20:00~20:30)がK-mixでスタート。STARMARIEのパフォーマンスとは180度異なる天衣無縫なトークで、木下は新たなキャラクター、個性でファンのみならず、多くのラジオ・リスナーを魅了することになった。

また、2018年にはデビュー10周年記念として舞台公演「うどんを愛して」で主演を務め、さらに2020年3月8日には浜松市民ミュージカル「『奇跡』 ~ヤマトタケルを継ぐ者たち」にヤマトタケル役で出演することが決定。歌、ダンス、芝居、ミュージカル、ラジオ・パーソナリティとその活動域(表現場所)を広げている。

そんな木下が最近よく考えるのは「自分の未来」について。表現形態や場所が広がっていく中で、「仕事とプライベート」「仕事と結婚」「自分と家族の幸せ」などの悩みに向き合い、自問自答、そしてスタッフ、ファン、そして両親からの言葉にも後押しされ、ある結論めいたものを出すに至った。それは「人から必要とされる人であり続けたい」ということ。決して結論を先送りするわけではなく、それが仕事でもプライベートであっても、ファン、家族、そして愛する人に対しても、そうでありたいという、正直で純粋な気持ちの表出である。

そこで木下 望が、同じ静岡県出身で、ちょうど芸能生活30周年を迎え、結婚、出産を経て、女優として、ひとりの女性としての幸せ、充実感、苦労を味わってきた人生の先輩であり、自身も1990年10月にK-mix (当時FM静岡)で初ラジオ・レギュラー番組を持ち、1993年3月までの2年6か月で、しゃべって表現することの楽しさ、大切さを知った加藤 貴子に、素直に今の自分、希望、悩みを相談するというスタイルを通じて、ともに「女性の幸せ」「家族への愛情」「地元・静岡への消え難い思い」について語り合う、という特別番組を企画する。
きっかけは木下の加藤への投げ掛けだが、結果的にはふたりで考え、語り合う、というスタイルが番組成功のイメージ。

 

【「静岡県出身」以外にもこんなにある!加藤 貴子と木下 望の共通項】
① アイドルとして芸能界デビュー(加藤がデビューした頃に木下生誕!!)
② デビュー当時(木下は現在でも)のキャラクターはいわゆる「おバカ・キャラ」
③ あま~く、聴く人の気持ちにスッと入り込む愛らしく、個性的な声
④ 家族が大好き
⑤ 褒めて伸びるタイプ=頑張り屋さん
 デビュー当時(木下は現在でも)、公の場で主語を「貴子は」「望は」と名前で話す。


【番組進行素案】

① 番組オープニング
木下 望が自己紹介。「仕事とプライベート」に対する現在の自身の思いを吐露。
その気持ちを同郷の大先輩である加藤 貴子にぶつけながら、相談に乗ってもらう番組を企画した旨の発表。

② 本編その1
加藤登場。木下がプロフィール紹介後、ふたりの共通点については話し始め、その声、エンタメ業界に足を踏み入れた動機、家族愛、地元愛の一端を語り合う(確認し合う)。

③ 本編その2
木下が悩み、考えたこれからの自分像、「人から必要とされる人になりたい」という思いを加藤に告げ、加藤の意見を仰ぐ。

④ 本編その3
③とクロスするように、そんなアドバイスや意見をする加藤自身のこれまでの経験、苦労、悩み、結婚、出産、「女性の幸せ」について木下が聞く。

⑤ 番組エンディング
自らの気持ちを支える家族、地元・静岡へのそれぞれの思い、今後の抱負を語る。

【音楽】

③と④の間に木下の ④と⑤の間に加藤の、人生にとって最も大切な1曲を紹介。

 

 

もちろん、これは企画書です。机の上で文字にしただけの、言わば「番組の設計図」です。貴ちゃんとのんちゃんの実際の言葉、やり取りがこの企画書を番組という「生き物」に変えていくのです。
実際にそうなりました。

また、私が考えた大まかな番組の流れを、2月の顔合わせを経て、高谷さんがいわゆる「脚本」に仕立ててくれました。彼が書いたオープニングとエンディングでののんちゃんのナレーションは、私にはおそらく考えがつかなかったような素敵な言葉で溢れています。

22日に番組を作っていく過程で、番組構成上、オープニングや場面転換で2タイプのジングルが必要なことに気が付きました。
のんちゃんの番組タイトルコールを乗せる20秒弱の短い音楽を2つ見つけなくてはいけません。この番組に相応しい音楽を・・・。

何気なく、自分の番組制作に必要な様々なものが雑然と置いてある棚を眺めていて、一つ目はすぐに見つかりました。
『夕暮れワルツ』というkainatsu(当時は甲斐名都)さんの、インディーズ・デビュー・ミニアルバム・タイトル曲のイントロ、その名の通りの3拍子のフレーズです。のんちゃんのボイスとあまりにマッチしたので、ちょっとびっくりしました。
となると、もうひとつはこの人の曲から取ってみよう、と思い、Ritomoさんの音源を自分のオーディオファイルから探し始めます。
ありました。
『どうでもいいこと』という曲のエンディングです。この曲も偶然とはいえ3拍子・・・。


出会った順に、加藤貴子⇒kainatsu⇒木下望⇒Ritomo、私のラジオマン人生の中で、私を「生かして」くれた、そして「生かし続けて」くれている4名の女性が、この番組でひとつになったような気がします。

 


3月29日(日)19:00、特別番組「加藤 貴子×木下 望 仕事のこと、家族のこと、幸せのこと、そして静岡のこと、ゆっくり話してみよう」、是非お聴きください。

 

 

 

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