「宇垣美里」的在り様

このブログは、私がK-mix というフィールドで感じたり考えたりしたことをお話しし、ラジオやK-mixのこと、パーソナリティやアーティストについてもっと知っていただければ、という思いで始めたものですが、今日はK-mixとは直接関係のない、しかし、これからのラジオ・パーソナリティの在り様について思いを馳せる時、ひとつのヒントを与えてくれる存在についてお話ししたいと思います。

宇垣美里さんのことです。

今年3月いっぱいでTBSを退社し、フリー・アナウンサーとなった宇垣美里さん。1991年4月生まれということなので、現在28歳。東京のラジオ・テレビ兼営キー局に入社し、順調なキャリアを築いてきたはずの彼女。朝の情報ワイドではニュースを伝えたり、時々振られる小説などの文芸の話題にしっかりと答えたりする文学好きな一面など、正統的女子アナ像を見せていましたが、それに加え、ラジオのレギュラーやネット配信番組で、趣味のひとつであるアニメ観賞の知識を活かしたトークを披露したり、コスプレをしたり、はたまた週刊誌でコラムの連載を持ったりと、既存のアナウンサーとは異なったフィールドにその活動の場を広げていったという点で、単に正統的美形女子アナ(「ミス同志社」という肩書も持っています。)という一言では語れない存在になっていったように思います。

そんな矢先、「サンデー・ジャポン」に毎週レポーターとしてVTR出演、そこで毎回彼女が呟く言葉が「闇発言」と言われ、「闇キャラ」という形容詞で彼女を紹介するネット記事が続出するという現象が起きたのです。
「闇発言」の代表的例をひとつ挙げておきましょう。
宇垣さんはネットで自分に対して「どうせまた新しいキャラクター作ってんだろう。」と批判の声が上がっていることに対して、「人それぞれに地獄があると思うんですよ。私には私の地獄があるし、あなたにはあなたの地獄があるのだから『他の人には幸せしかない』なんてそういう風に思わないでよと思いますよね。」と持論を展開したのです。女子アナの発言とは思えません。しかし、そんな発言をする彼女に理解、関心を示す人々が男女問わず、増えていくことになるのです。

闇キャラ認定される前、彼女はもうひとつ、彼女の存在を世間に示すことになる、ある発言をしています。「クイック・ジャパン」の連載コラムで綴った思いです。

 

「ふりかかってくる災難や、どうしようもない理不尽を、一つひとつ自主的に受け止めるには、人生は長すぎる。」とし、そのための“逃避術”として「そんなときは、『私はマイメロだよ~☆ 難しいことはよくわかんないしイチゴ食べたいでーす。』って思えば、たいていのことはどうでもよくなる。」と言うのです。

 

人はこれを「宇垣美里のマイメロ理論」と呼び、この理論は同世代の女性を中心に多く人の共感を呼ぶことになるのです。

こういうことの積み重ねがあったからでしょう。宇垣さんは「好きな女性アナウンサー・ランキング2018」(オリコン)で、一気に第9位にランク・インしたのです。

 

しかし、一方で彼女の歯に衣着せぬ数々の発言を「毒舌」と揶揄したり、彼女の自身の見せ方を「作為的」と批判したりする人々がいることも確かで、事実かどうかは知る由もありませんが、「TBSの中で彼女は孤立している。」とか「上層部が手をこまねいている。」という噂もネット上で囁かれるようになっていきます。
そして、その経緯はともかく、宇垣さんは今年3月末をもってTBSを退社したのです。

 

私は宇垣美里さんの「表現者」としての在り様にとても興味を覚えてきました。

まず、人の評価はともかく、自分の思ったことをしっかりと発言し、それがブレないことの素晴らしさ、そして、その発言に責任と覚悟を持っていること、文学、そしてアニメをはじめとするサブカルへの興味と知識、という人より秀でた才能、ふたつの雑誌で連載を持つことを可能にする文才、テレビとラジオで別の顔を見せる二面性(たぶん、ラジオのそれが本来の彼女の姿)・・・。この約30年間ずっと「女子アナ」と呼ばれ、持て囃されてきたタイプとは明らかに異なるその在り様にです。

彼女の在り様がきっかけのひとつになったのだと思いますが、従来の「アナウンサー」「パーソナリティ」という言葉では語りきれない、「表現するものとしての多様性」が、これからのパーソナリティ(女性だけでなく、男性もです。)を捉えたり、選択したりするひとつの基準になるような気が私にはするのです。ラジオ・パーソナリティの表現する場面が、ラジオ番組でしゃべったり、イベントでMCをしたりすることだけに限られる必要はないのでは?と思うのです。

「書くこと」「歌うこと」「踊ること」「演じること」・・・。自分の興味があることや自分の可能性を感じることへ表現するフィールドを広げていき、チャレンジすることが、結果的にその人の表現者としての力を向上させることになるのだと思います。
また、
普段とは違った場所や機会に登場することにより、日頃ラジオを聴かない方々と接触でき、その方々に「ラジオ局のパーソナリティって、こういうこともするんだ。」とか「こんな人がラジオでしゃべっているんだったら、ちょっとその番組聴いてみようかな。」と思っていただけるチャンス、という副産物が生まれるかもしれません。

パーソナリティ自身がそういうことを自覚することも必要になってくるでしょうし、そう思うパーソナリティの持っている魅力や可能性をどうしたら引き出せるのか?というディレクションやプロデュースする立場の者の手腕も試されることになるでしょう。

 

宇垣美里さんは、そんなことを考えさせてくれた素敵な存在です。

 

 

 

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