“高谷祐介”という人をリスペクトするのは何故か?

これは自分の性分なのだと自覚しているのですが、自分が尊敬したり、影響を受けた人、信頼している人、そして“センス”がいいと思う人の判断、そして、その人からかけられた言葉に対して、私はとても敏感且つ従順だと思います。それは人生の方向性を決めるような重要な判断をする時だけでなく、例えば「この人がそう言うんだから、そうなんだろうな。」という日常的なちょっとした判断や、そこから起こす行動についてもよく当てはまります(その逆を言えば、何回かの接触の中で、全くそう思えない人の判断や言葉は、仮にその人が社会的地位を持っていたり、自分より目上だったり、世間で持て囃されている人であっても、ほぼ100%耳を傾けません)。

この仕事を長くやっていれば、色々な人と出会い、一緒に仕事をする人々が大勢存在してきたわけですが、感性や志向性に近いものを感じる人と出会うと、私はその人の仕事の仕方やフィールドをしっかりと見つめて、関係性のあり方を探ります。相手も相手で、私のことや仕事のフィールド、向き合い方みたいなものに共感していただくと、また一緒に取り組みたい仕事の提案をしてくれたり、私がそれまで接点のない人を「久保田にこの人を紹介しておいたら、何かの足しになるかもしれない。」と親切に紹介してもらったりもします。「私が信頼している人が、私に紹介したいと思う人」なのだから、私が知らなかったり、思いつかなかったり、巡り合わなかっただけで、実は接点を持つべき人である可能性がかなり高い、というのが経験則です。

今日はまさにこうした経験の中でも最上級の幸せな出会いについてお話しします。

1999年頃、ひとりの新人女性アーティストとの出会いがありました。現在はアニメ・ソングの作詞家として大活躍しているこだまさおりさんです。私は彼女をただレコード・メーカーからのプロモーションだけで知ったのではなく、彼女が石川県出身ということもあり、当時エフエム石川の番組編成、制作を仕切っていた西坂正造氏から「なかなか面白い子なので・・・。」と言われ、彼女が所属するマネージメント・オフィスの山口哲一社長共々、彼女がK-mixを訪ねてくれたことにより、より興味を持って出会うことになったのです(西坂氏は私にBOSSANOVA CASSANOVAを紹介した張本人で、間違いなく20代、30代の頃の私の“心の師匠”です)。

さおりさんは曲もビジュアルもポップな色合いが強いアーティストでしたが、歌詞の世界はとてもフェミニンで、男性の私でも「分かるわー、この歌詞。」と思えるようなものがたくさんありました。
ょうどその頃、私が担当していた昼のワイド番組は、昼休みの時間にOLや主婦の方に、お昼ご飯を食べながら聴いてもらいたい、というコンセプトでお届けしていました。そして、メイン・パーソナリティの河村由美さんと一緒に月2回程度、12時台を進行してもらえるような女性アーティストに準レギュラーとして加わってもらい、女性目線の多角化を図ろうと思っていたこともあり、是非、さおりさんにそれを引き受けて欲しいとお願いし、1年間お付き合いいただいたのです。
彼女のセンスは音楽のみならず、女性の優しさやカッコよさが顔を出し、そして時に家庭的な雰囲気すら感じさせることもありました。今、彼女の手になる数々のアニメ・ソングや声優に提供した曲の歌詞を見るにつけ、女性の心を巧みな言葉遣いによって表現することに、余程長けているアーティストだということを改めて思い知らされます。

 

そんな彼女をマネージメントしていた山口さんから、20171月末日、約10年ぶりくらいにメールをいただきました。メールはこんな文面でした。

 

大変ご無沙汰しています。お元気ですか?

ご紹介したい人がいてメールしました。
M-SMILEというライブ・アイドルのマネージメントをやっている後輩社長がいます。
彼がSTARMARIEというグループを一押しでやっていて、海外展開をしたり、頑張っています。徐々に人気も出てきて、昨年末には中野サンプラザをやりました。
そのメンバーの内、2人が静岡県出身ということもあり、K-mixにご紹介をできればなと思いました。3月に浜松でライブもあるようです。
詳細は、下記、高谷くんのメールをご覧いただけますか?
問題なければ、久保田さんの連絡先を教えて、直接連絡させます。
一度、お打合せをお願いできればありがたいです。
東京でタイミングがあれば、僕も同席しますが、基本的には浜松に行くと言っているので、会っていただけないでしょうか?
ご検討ください。

僕も今年は久々に新人アーティストをデビューさせるので、改めてご相談させてください。
宜しくお願い致します。

 

こだまさおりという素敵なアーティストをマネージメントし、アーティスト・マネージメントの業界団体で要職を務め、そしてこれは結構重要なポイントなのですが、私と同い年=音楽や音楽業界に対する時代感覚やトレンドを共有している可能性が極めて高い山口さんが、おそらくその存在や実力を認め、将来性を感じている高谷さんという人と、そんな彼がマネージメントしているグループ、しかも静岡県出身のメンバーが5人中2人もいるグループを紹介したいというのだから、一体どこに断る理由があるだろうか?という発想に自然となるのです。
高谷さんに浜松まで来ていただいてもよかったのですが、丁度近々東京に出張する機会があったのと、久しぶりに山口さんにもお会いしたかったので、渋谷のホテルのラウンジで3人で会うことになったのです。

2017216日(木)、こうして私はM-SMILEの社長であり、STARMARIEの絶対的プロデューサーである高谷祐介氏と出会ったのです。

最初に言わせていただければ、もし高谷さんと出会っていなかったとしても、私はラジオ屋人生を楽しく全うし、終えることはできたでしょう。しかし、高谷さんと出会ったことによって、私の人生は現在進行形で数十倍楽しくなってきている、と心底思います。私よりひと回り以上も若い彼ですが、ここ10年くらいの間に出会った音楽関係者の中で、最もリスペクトできるのは間違いなくこの人です。

私は元々、幼い頃からアイドルが大好きで、大学時代「おニャン子クラブ」という化け物に出会って、アイドル、アイドル・ポップス、そしてそれを裏で作り上げていく才能(秋元康氏だけでなく、作詞作曲者、プロデューサー、スタジオ・ミュージシャン・・・)に魅せられることになります。人によっては、それは「大人が作り上げた虚構であり、アイドルはただ下手くそな歌を歌い、粗製乱造されているだけ。」と否定したり、軽蔑したりしましたが、私にはそれは究極の創造的職人技と思え、その世界にのめり込んでいったのでした(この話をし始めたらいつまで経っても話が終わらないので、別の機会に譲り、先を急ぎます)。

高谷さんと会う前に、STARMARIEについて予習をしておこうと思い、高谷さんからいただいたメールに記されたYouTube動画「【スタマリ入門】4分44秒でわかるSTARMARIE-ダークファンタジー編-」「【スタマリ入門】4分44秒でわかるSTARMARIE-ライトファンタジー編-」を観てみました。このブログでも何回か触れているように、“ファンタジー・ユニット”STARMARIEのコンセプトは「人間の生と死をテーマにした歌詞を、激しく且つ独特のダンスとともに歌い踊る」というものです。もちろん、シリアスで、闇や孤独を表現した楽曲が中心なのですが、ただそれ一辺倒ではなく、人間味や喜び、幸せを感じさせる楽曲も存在します。STARMARIEとファンの間では、前者を「ダークファンタジー」、後者を「ライトファンタジー」と呼んでいるわけですが、この2つの動画はそれぞれの代表曲(当時)の数々の聴きどころがコンパクトにまとめられていて、彼女たちの魅力が一目瞭然に感じられる内容になっています。まず、こうした丁寧で分かり易く、センスのいい動画をアップしているところに「高谷さんっていう人は、なかなかのクリエーターだな。」と直感しました。そしてこれ以外の曲単体の動画の数々を観進めていくと、その詞の世界観が確立されているのはもちろん、曲のメロディーやアレンジが相当カッコいいということを実感します。どんなジャンルの曲でも当てはまることですが、私は常々「歌詞とメロディー、アレンジ、そして歌声の一体感」=「この歌詞をこの声で歌うのだから、このメロディーやアレンジが必然」というのが良い楽曲の条件だと思っています。STARMARIEの楽曲にはそれがしっかり備わっているということが、いとも容易く分かるのです。

「高谷さんに会う前にこれだけのことを私に想像させたり、思い知らせるSTARMARIEと高谷さんって凄いかも・・・。」

久し振りに刺激を与えてくれるであろうアーティストと出会える期待感が、自分の中で満ちていきました。

そして、高谷さんと初対面し、1時間程度話をしているうちに、私の超個人的職業病と言える「『レギュラー番組を始めませんか?』お誘い病」が発症するに至るのですが、その日は敢えて高谷さんにその話はせず、5人が「喋る」ということにどういう意識があるのか?(何せ、STARMARIEはライブ中にMCをしないユニットなので)また当然存在するであろう、その作られた世界観と普段の彼女たちの“ギャップ”について、高谷さんはどう考えているのかを聞くに留めておきました。高谷さんの答えは「ラジオでメンバーが言葉で表現すること」についてポジティヴなものでした。

さて、会社に戻って考えなくてはいけなかったことは「この2月中旬のタイミングで、1ヶ月半後の4月から番組を始めることは実際問題可能なのか?」ということでした。制作準備期間としては1ヶ月半は短いし、そもそも放送枠をどこかこじ開けない限り、STARMARIEに限らず新しい番組を始めることはできないので、結果、今放送している番組のどれかを終了しなくてはいけない、ということになるのです。
そこで私が行なった選択は、それまで長らく制作会社から購入し放送していた(つまり自社制作ではない)とある有名男性アイドル・グループのメンバーがパーソナリティを務める人気番組の購入を止め、そこでSTARMARIEの番組を放送するというものでした。その男性アイドルのファン(女性だけでなく、男性も)を敵に回してまで、STARMARIEのレギュラー番組を始める意味がある、と私は腹を括ったのです。

こちらの編成上の体制が整ったので、正式に高谷さんに4月から毎週土曜20:00から30分番組を始めることを提案しました。もちろん、高谷さんからはOKサインが出たのですが、そこで新たに考える必要があったのは、5人をどのように番組に出演させるか?という問題でした。これはラジオの弱点にもなってしまうのですが、毎回5人全員がおしゃべりするのは、個々の声とビジュアルが一致し難く、リスナーに見も知らないSTARMARIEを理解してもらうには逆効果なのは自明でした。そこで私が単純に思ったのは、静岡県出身メンバーである木下望(のんちゃん)と中根もにゃ(もにゃちゃん)の2人を固定レギュラーにして、後の3人には折を見て出演してもらえばよいのでは?ということでした。ただし、高谷さんによれば通常アンコール前後のMCや番組出演の際、中心的にしゃべるメンバー、つまりSTARMARIEのスポークスマンは高森紫乃(紫乃ちゃん)であるということだったので、後は高谷さんの判断にお任せする旨を伝え、高谷さんの回答を待ちました。

そう、既にお気づきかと思いますが、この時点で私はメンバー5人の誰とも会っていないのです!

高谷さんの最終的判断は、その後から現在までのことを改めて振り返ると、大正解、というか「そに手があったか!!」と唸ってしまうものでした。「のんちゃんをメインで毎週出演させ、他の4人は1人ずつ週替わりで登場させる。」というのです。

これは後からのんちゃん本人から聞いた話ですが、このキャスティングを移動中の車中で、高谷さんからさりげなく聞かされた彼女は「何で私が!!??」と思って仰天し、とても不安に思ったということです。「紫乃がいないと私は何も喋れない。メインは無理!」と・・・。

私が感じているメンバー個々のキャラクターについて詳しくお話しするのはまた別の機会にと思いますが、「生と死をテーマにパフォーマンスするユニット」であるSTARMARIEの世界観とそのキャラクターを重ね合わすことが一番容易いメンバーは明らかに紫乃ちゃんです。

逆にSTARMARIEのコンセプトに全く似つかわしくない素の姿を持っているのがのんちゃん、だと私は思います。そんなのんちゃんをメインMCに起用する、というのはSTARMARIEをただコンセプチャルに見せる(魅せる)に留まらず、そこに潜むギャップの効果によって、新たなファンを獲得したり、既に彼女たちのファンである人たちにも、STARMARIEの新局面を見せる、という点で実は相当練られた戦略、もしくは高谷さんの鋭い直感なのでは?と思い、またワクワクしたのです。私がアイドル・ポップスとアイドルの世界に魅せられる創造的職人技というのは、まさにこういう類のものなのです。さらに付け加えれば、後日高谷さんから聞いた話によれば、のんちゃんは「新たなものを与えれば、それにチャレンジし、さらに頑張って努力し成長するタイプ」だということでした。この見解ついてはその後、事ある毎に私も強く同意することになります。そして、のんちゃんは典型的な“褒めて伸びるタイプ”なのです。

3月に入り番組のことが徐々に固まりつつあった3月第2週の金曜日、STARMARIEの地元出身メンバー、のんちゃん、もにゃちゃんがK-mix に初めてやってきて番組初出演を果たします。番組は「K-mix LIFE! LIFE! LIFE!」。のんちゃんをメインMCに起用するのが高谷さんの戦略であるならば、この番組に2人を出演させ、わたなべだいすけ君曰く“K-mix アーティストのヒエラルキーの頂点に君臨する”(笑)kainatsuさんと当のだいちゃんに、のんちゃん、もにゃちゃんを引き合わせるようセッティングしたのが私の戦略です。なっちゃん、だいちゃんに「久保田さんがまた新たなアーティストをK-mix に巻き込ませようとしているみたい。しかもシンガーソングライターじゃなくて、アイドルだってさ!」と認識してもらうことと、逆にのんちゃん、もにゃちゃんには、なっちゃん、だいちゃんのトークや自分たちへの接し方を通じて、「アーティストがラジオでおしゃべりする意味」みたいなものを素直に感じてもらいたい、と思ったのです。

これは結果論でしかありませんし、偶然の産物なのですが、この後、だいちゃんがもにゃちゃんのことを「俺の最大の天敵」と断言するようになり、2人が合間見える時に必ず展開される「プロレス的トーク・バトル」は、ある意味K-mix の名物になり、またSTARMARIEとだいちゃん率いるD.W.ニコルズがジャンルを超えて対バンする、ということまでに発展していくのです。そして、これは高谷さんから聞いた話ですが、のんちゃんは、なっちゃんのアーティストであり、ひとりの女性であるその”在り様”に、将来の自分のあるべき姿を重ね合わせた、ということらしいです。

こういうケミストリーこそ、私がこの仕事をしていて最も幸福だと思うもののひとつです。

20174月、「STARMARIEのファンタジートラベラー」はスタートしました。のんちゃんは最初の頃こそ緊張した感じはあったものの、直ぐにその天衣無縫なキャラクター、聴く人を幸せにする力に溢れたトークが冴え渡るようになりました。

そして程なくして、週末に静岡県内でライブやイベントがある時には、その前後にK-mix view-st.5人揃って公開生放送を行うまでになったのです。初めての公開生放送の時、のんちゃんの頭が一瞬真っ白になり「タイム!」と叫んで、ひぃちゃん(松崎博香)に「のんちゃん、生放送だから『タイム!』はないよ!」とツッコまれ、ブースの中はもちろん、サブ(私やスタッフがいる調整室)、そして窓越しの沢山のギャラリーが大笑いしたことは、楽しい思い出です。

そして、番組スタートしてからしばらくすると、STARMARIE23ヶ月に一度遠征公演を行っている台湾の情報ネタを、5人中最も台湾好きで、プライべートでも台湾に行く機会も多いもにゃちゃんが、得意の中国語を交えて紹介するコーナーもスタートしました。このコーナーの根底には「富士山静岡空港から台湾へのアウトバウンドのススメ」というコンセプトもあります。

このブログで何回もお話ししているように、こんなSTARMARIEを単なる可愛いアイドル5人組だと思えない、思わない理由のひとつが今回お話ししてきたことにあるのです。

高谷祐介というプロデューサーと5人のアーティストが絶妙なテンションで結びついて、同じ方向をしっかり見定めて歩んで行く・・・。この”トラベラー”たちと少しでも長く共に時間を過ごし、そしてSTARMARIEが夢と希望、生きる活力を1人でも多くの人に届けられることができるよう、私の出し得る力を注ぎたいのです。

次回は2年半、彼女たちと時間を共にしてきて、私がようやく分かり始め、少しばかり確信めいたものを持つようになった5人ひとりひとりのキャラクター、凄さについて個別にご紹介していきたいと思います。

最後にひとつだけ宣伝を。

そんなSTARMARIEの”エンジン”であるのんちゃんと、”頭脳”である紫乃ちゃんだから成し得るイベントが今月23日(月・祝)に浜松で行われます。まずは「高森紫乃ピアノ・リサイタル」。ピア二ストとしても自身の世界観を表現できる紫乃ちゃんが、KAWAIのプレステージ・モデルSK-7でパフォーマンスし、加えてゲスト・ボーカルにはのんちゃんが登場します。

そしてもうひとつは同日同会場で行われる「STARMARIEのファンタジートラベラー」公開録音。のん&紫乃の互いに対する深い深いリスペクトがあるからこそ出来上がる、2人のトーク・マジックを是非楽しんでいただければと思います。

STARMARIEの通常のライブ・パフォーマンスからではなく、返ってこの変化球的入り方の方が、もしかしたらSTARMARIEの魅力を知っていただき易いかもしれないので、まだ彼女たちに触れたことのない方も是非足をお運びください。お待ちしています。

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