THE RESPECTS

11月4日(月・振休)11:30〜16:00、プレ葉ウォーク浜北で「K-mix Holiday Special kainatsu、京太朗と愉快な仲間たち〜THE RESPECTS〜」とタイトルされた公開生放送を行ないました。今回はその裏話を。

この日にプレ葉ウォーク浜北で公開生放送を実施することがほぼ決定したのは、まだ長い梅雨が終わらない頃だったと思います。ここ3、4年、K-mixが9月、11月に実施する大型公開生放送は、私の部下であるプロデューサー陣が指揮を執っていましたが、たまには自分がやってもいいかな?と思い、珍しく私がプロデュースすることになりました。そして、ディレクターは私と同じ名字を持ち、入社2年目で、私とは親子ほど年齢が離れている久保田琢広君に担当してもらうことにしました。彼にとっては初めてディレクションする大型公開生放送です。

そこから「さて、一体どんなコンセプトや内容の番組で、誰をパーソナリティに起用するか?」ということを必死に考えた、というのは真っ赤な嘘で、自分がプロデュースすると決めたのとほぼ同時に、番組のコンセプトと出演してもらいたい人は決まっていて、それをただ具現化し、若干の飾りをつけてやればよかっただけのこと、というのが実際のお話です。
そのコンセプトは「とにかくライブまみれの4時間30分にする。」という至ってシンプルなもので、加えて「メインMCもライブをするアーティストにやってもらうこと。」を番組のポイントにしよう、と考えていました。「ライブもやって、4時間30分の公開生放送のメインMCもする。」というのはさすがに重労働で、普通のラジオ・ステーションでは考えにくい企画だとは思いますが、幸いK-mixはそれを信頼して任せられる人材に事欠きません。
そして選ばれたのが、kainatsuさんと京太朗君(京太朗と晴彦)というわけです。それぞれK-mixでのレギュラー歴13年半と12年半を誇り、今ではそれぞれ「K-mix LIFE! LIFE! LIFE!」と「K-mix らじコン」という公開生放送のレギュラー番組を担当しているこの2人は、アーティストとラジオの関係性を大切にするK-mix の力強いスポークスマンです。
なっちゃんと京晴の関係性についてはだいぶ前のこのブログにも書きました。私はこの2組3人が互いの存在や作品を認め合い、ある意味競い合っているところが大好きです。2組はたまたまK-mixで同じ番組枠「K-mix 8×8」を担当することで出会ったわけですが、これは私のラジオ屋人生の中でも特筆すべき、そして誇らしい「邂逅」です。

なっちゃんと京太朗君がメインMCを務め、そこに晴彦君も加わってライブもする。“ライブまみれ”にするためにはあと3組のアーティストが必要だと思い、まず最初に浮かんだのがRitomoさん。今年4月から彼女と私は二人三脚で色々なことにチャレンジしてきましたが、不特定多数の、彼女のライブをまだ聴いたことのない、観たことのない人に彼女を知ってもらう良い機会だと思いました。
そして井上侑さん。侑さんは3年ほど前まで、毎月のようにプレ葉ウォーク浜北でインストア・ライブを行っていて、私が彼女を知ったのもそれがきっかけでした。今回の企画には欠かせないピースだと思ったのです。
最後の一枠。ここまでの4組はK-mixでレギュラー番組を持っているアーティストですが、もう1組はそうではなく「静岡にはまだこんなに素敵なアーティストがいるんですよ。」ということをリスナーにプレゼンテーションするような人選がいいと思い、少しばかり頭を捻って神戸兄弟に決定しました。静岡市在住の高校2年生の奏汰君と小学4年生の徠之(らいの)君の兄弟ユニット。奏汰君は「神谷宥希枝の独立宣言 ザ☆オーディションVol.9」のファイナリストで、その後徠之君とユニットを結成。神戸兄弟は同じく「ザ☆オーディション」出身の崎山蒼志君や諭吉佳作/menと共に、静岡から日本全国に羽ばたく若き10代の才能として注目され始めています。
この5組にライブをそれぞれしてもらうことに加え、セッションを2つ組み入れました。1つは番組最後を飾る出演者全員による京晴の『君がいる世界』。この曲はまるで最初からセッションすることを想定して作られたのではないか?と思うほど、京晴以外の様々な歌い手が加わることで、色々な楽しみ方ができる佳曲です。
もう1曲は侑さん、神戸兄弟、Ritomoさんのライブが終わった後の、3組4人による初共演のセッション。Ritomoさんに「曲は何にしよう?」と振ったところ、間髪入れず「徠之君が歌うことを前提に『およげ!たいやきくん』がいい。」と答えが返ってきました。「Ritomoさんから奏汰君に話をして、同意が得られれば、それでいいんじゃないかな?」と私が答え、結果、奏汰君も了解してくれたので、曲は『およげ!たいやきくん』に決定しました。

Ritomoさんと一緒に仕事をし始めて、これは強く思うことなのですが、彼女の直感的感性の鋭さと深さには目を見張るものがあります。この選曲も徠之君、そしてRitomoさん本人が歌うことで、この曲が持ち合わせている「悲劇的寓話性」を炙り出し、聴き手に感情移入させずにはおかないパフォーマンスになることを、彼女は多分直感的に想像、そして確信していたのだと思う、というのは些か勘ぐり過ぎでしょうか?
『我が春』を歌うRitomoという歌うたいが歌う『およげ!たいやきくん』・・・。

ついでに言えば、このセッション直前の1分間のCMゾーン中、私はステージ上のRitomoさんのところへ行き、「CMゾーンが明けたら、君が簡単に前MCをしてから演奏を始めるように。」と耳打ちしました。すると彼女は私がそんなことは一言もお願いしていないのに、自分が少ししゃべり、曲紹介をするところになると「徠之君、じゃあ曲紹介をしてください。」と徠之君に振ったのです。(演出的に)天才的だと思いました。それに応えてしっかりと曲紹介をした徠之君も徠之君です!

また、これは私が決めたことではなく、なっちゃんの希望だったのですが、自身のステージで1曲京晴とセッションをしたいということで、なっちゃんの最新アルバム『BOOKMARK 』収録曲『歌いながらいけ』のセッションもありました。なっちゃんが京晴を呼び込んでもステージに上がったのは京太朗君のみで、晴彦君は行方不明。「しようがないから、2人でやりましょうか?」となりかけたところで晴彦君が飛び込んでくる、という12年半前と全く変わらない晴彦君の“自由人”ぶり。ステージを降りてきた晴彦君に「確信犯だろう!?」と尋ねても、ただただニヤニヤするばかり・・・。生放送でこういうことが起こっても、別に何か対処しようとしない私も私ですが・・・。

 

実は放送日の3日ほど前、私はなっちゃん、京太朗君、侑さん、Ritomoさん、そして琢広君宛に今回の特番を行うにあたっての方向性、共有しておきたい唯一と言っていい「掟」をメールで伝えていました(晴彦君にはこういうものを伝えても意味はなく、むしろ何も知らない方が、彼の良さは確実に発揮されます!)
その「掟」とは「意識の向け方」についてです。
私はみんなにこうお願いしました。

「『ステージ前に集まっていただいた観客:ラジオの向こうでこの番組を聴いていただいているリスナー』への意識の配分を『2.5:7.5』に保ってください。何故ならこれは『イベント』ではなく『放送』なので。そのバランスを保つために、皆さんの目の前に広がる光景、心象風景を言葉でちゃんと表してください。ラジオの向こう側の方々の頭の中にそれが広がるように。」

これは公開生放送で陥りやすい制作者や出演者の失態なのですが、人間というものは、見えないものより見えるものに気を取られるが故に、ともするとこれが不特定多数の何千、何万というリスナーに聴かれているということを忘れて、自分の目の前にいる数百人に向けて話したり、歌うことに集中してしまうのです。これが行き着くところは「リスナー置いてけぼり」状態です。
冒頭にお話ししたように、これまで大型公開生放送を行う場合、私が直接現場で指揮することは稀で、大抵私は現場にも赴かず、万が一中継音声に断絶などが起こった場合に備え、いつでも放送の切り替えができるよう、本社スタジオで番組開始から終了までずっとバックアップしています。したがって、私にはスピーカーから流れてくる音声でしか会場の様子を知る術がなく、それはまさに一般リスナーと同じ耳線で番組を聴いていることを意味します。そして、これまで大抵の場合、少なからずそれらの公開生放送に対して不満を持っていました。「全然会場の様子が伝わってこないよ、これじゃ。」と。
だからこそ、自分が現場に立つ以上、同じ轍は踏まないし、琢広君にも踏んでもらいたくない、と思い、出演者とスタッフでこの考え方を絶対に共有しておきたかったのです。「これがあるべき公開生放送のスタイル、真髄」だと・・・。
「ライブまみれの番組にしたい。」というのもこれと大きく関係していて、ライブであれば会場とラジオの向こうの距離感は、ただトークしたり、レポートするよりは、遥かに短く感ずられるはずだし、K-mixにはそれを体現できるアーティストがいるのだから、と信じていたからです。

放送が終わって思ったことは、決して100%とは言わないけれど「掟」はしっかり守られたということでした。惜しむらくはリスナーから寄せられた「リスペクト」についてのメッセージをあまり紹介できなかったことと、それを膨らませることまで気持ちにも時間にも余裕がなかったこと。これは次回に活かしたい反省点だと思います。なっちゃんや私が感じている以上に、京太朗君と琢広君はそれを強く感じているようだったので、きっとこの経験は彼らにとって今後の糧となるでしょう。

話は前後しますが、そもそもこの公開生放送特番のサブタイトルを「THE RESPECTS」と思いついたのは、先ほど書いたようななっちゃんと京晴の関係性をベースにして、その「リスペクト」をアーティスト同士、出演者とリスナーの間、そして音楽に対しても広げられるように、と思ったからに他なりません。

そして些細で一瞬の出来事でしたが、そんなタイトルを冠した番組を象徴するような場面がありました。

神戸兄弟のステージが終わった後のインタビューで、普段はドラムも叩く徠之君のタンバリンの振り方、叩き方を見たなっちゃんが、そのリズム感の良さを褒めちぎり、京太朗君もそれに強く同意したのです。アラフォーの経験豊かなアーティストが、10歳の少年のパフォーマンスに感心=リスペクトし、そしてそれを電波に乗せてリスナーにしっかり伝える・・・。ほんの5秒間程度のことでしたが、この5秒間だけで4時間30分の番組をやった意味があったと強く思ったのでした。

11日(月)の11時30分までならradikoのタイムフリーで聴取可能です。聴き逃した方はお急ぎください!

 

 

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