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1月16日のブログで2月29日（土）に開催される「K-mixアーティスト ひな祭りコンサート“ピアノのまちからこんにちは”Vol.2」の「スペシャル・シークレット・ゲスト」（以下SSG）のお話をしました。
11月にこのコンサートの出演者の一人である井上侑さんとお話する機会があった時、彼女からその名前として「太田裕美さんかと思った。」という声が上がりました。なるほど・・・、確かに太田裕美さんはピアノを弾きながら歌い、『木綿のハンカチーフ』という国民的大ヒットを持っているので、さもありなん、と思いつつも、自作自演よりも作詞家、作曲家から提供された作品を歌うことが多いので、純粋な意味でのシンガーソングライターとは言えません。よって「侑さん、それは違うな。」と即答しました。
ただ、「太田裕美」という名前を聞いて、少しだけ私の心はざわつきました。
私がK-mixに入社した当時、ミーハー的に「この人に会えたら本望」と思った女性アーティストが7名いました。ピンクレディーのミーさんとケイさん、香坂みゆきさん、石川ひとみさん、河合その子さん、渡辺満里奈さん、そして太田裕美さんです。単純に私は彼女たちの大ファンだった、というわけです。
そして運よくこの7名中6名の方にはお会いでき、インタビューを録ったり、自分の思いの丈を伝えたり、ちゃっかり一緒に写真を撮らせていただいたりと、その願いは思いのほか簡単に、短時間で叶えることができました。
唯一叶っていないのが、そう、太田裕美さんです。
私の音楽ポリシーが「音楽ジャンルに貴賎なし。貴賎があるとすれば、それはそのジャンルの中同士。」であることは以前お話ししました。これと関連して申し上げれば「自作自演歌手の方が、作詞も作曲もしない（できない）アーティストより優れている。」ということもあり得ません。もしそうだとしたら、「アイドル」と呼ばれるアーティストの存在意義は限りなくゼロに近づいてしまいます。この理屈に私は強く思うところがあるので、また別の機会にゆっくりとお話しできればと思います。
太田裕美さんのアルバムに『こけてぃっしゅ』という作品があります。
1977年にリリースされた彼女6枚目のオリジナル・アルバムです。
それまで、それこそ『木綿のハンカチーフ』に代表されるようなフォーク調の楽曲が多かった彼女の作品の中で、このアルバムに収録された10曲は、当時絶頂期を迎えていたアメリカのウエストコースト・サウンドから派生した、いわゆる「シティー・ポップス」的アレンジが施されたものばかりでした。しかも、全10曲の作詞は松本隆、作曲は筒美京平、編曲は8曲が萩田光雄、残り2曲が筒美自身という、完全無欠の作家陣によって構築された完璧な「コンセプト・アルバム」です。「シングル先にありき」という風潮が当たり前だった当時としては、画期的なアルバム作品だったと思います。もちろん先行シングルとして『恋愛遊戯』という曲がカットされているのですが、この曲も「いかにも先行シングル」という風合いはなく、よい意味で「単なるアルバムの中の1曲」という感じです。それを証拠に、リリースするシングルがオリコンTOP10ランキングに入り続けていた太田裕美としては、久しぶりにTOP10入りを逃したのがこの『恋愛遊戯』です。むしろ、アルバム・リリース後に第2弾シングルとしてカットされ、チャート第7位をマークした『九月の雨』の方が、他の9曲と比較すると少し違和感があるような気もします。
1977年初夏、中学1年生だった私は「鶴光のオールナイトニッポン」で『恋愛遊戯』を聴いて、目が覚めた翌日曜日、教会のミサに与った足ですみや清水店に行って、シングル盤を購入したことをよく覚えています。
そんな太田裕美さんが昨年9月に自身のブログで乳癌に罹患したことを報告されています。そして、この病と向き合いながら音楽活動を続けていくことを語っています。
本当にいつか必ずお会いしたい太田裕美さんです。
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