静岡刑務所 クリスマス音楽会

昨年12月20日(金)、静岡市葵区の静岡刑務所でK-mixの企画協力により「クリスマス音楽会」が実施されました。既にそれについては簡単な報告書をK-mixオフィシャルサイトに掲載させていただきましたので、ご覧いただければ幸いです。
当日は刑務所の新講堂に集まった受刑者約500名を前に、川﨑玲奈の司会進行、RitomoとSTARMARIEの各4曲ずつのライブ、Ritomo伴奏による川﨑玲奈のポエトリー・リーディングを披露しました。そして最後には出演者と受刑者が一緒になり『赤鼻のトナカイ』を合唱して音楽会は幕を閉じました。

今回はこの「静岡刑務所 クリスマス音楽会」が開催されることになった経緯、実施までの様々な出来事、そしてこれに関わっていただいた方々の姿をお伝えすることで、この企画の意味を探りたいと思います。

 

その前に予備知識として、静岡刑務所の概略を以下に記します。

● 主に関東甲信越静岡区域の裁判所で懲役刑が確定した 26 歳以上の男子受刑者のうち、実刑期 10 年未満で犯罪傾向の進んでいない人を収容している刑務所。
● 執行刑期は「2 年未満」15%、「3 年未満」22%、「4 年未満」16%。
●主罪名は「窃盗」21%、「覚せい剤」15%、「詐欺」11%。
(令和元年 10 月末現在)

 

この音楽会に参加したRitomoさんとSTARMARIEの5名、木下望さん(のんちゃん)、高森柴乃さん(しのちゃん)、中根もにゃさん(もにゃちゃん)、松崎博香さん(ひぃちゃん)、渡辺楓さん(かえちゃん)は、この企画について初めて聞かされた時に思ったこと、実際に刑務所に入り施設を見学した上でパフォーマンスに臨み、そこで見たもの、感じたこと、考えたことがどんなものであったかについて、12月28日(土)に放送されたそれぞれのレギュラー番組「Ritomo 電波上の二点間」と「STARMARIEのファンタジートラベラー」で語りました。
極々控えめに言って、私が過去32年間弱のラジオマン人生の中で、自分が手掛けたり、K-mixで放送されたりしたあまたのラジオ番組の中で、心に訴えかける言葉の数々がこれほどまでに溢れた番組はなかったと思います。
このブログでこの6名の才能や感性、そして未来については何度も言葉を尽くして語ってきたつもりでしたが、こちらの想像を遥かに超え、瑞々しい感性がさらに研ぎ澄まされ、思慮深さがさらに増していることに驚嘆した、というのが今回の率直な感想です。若き表現者たちには、私のような50代の人間にはもうそれほどあるとは思えない“伸びしろ”が、こんなにも存在していたのだと・・・。

実はこの日の「ファンタジートラベラー」は12月21日(土)「Ritomo×STARMARIE クリスマス音楽会~ファンタジーな二点間〜」が開催された日、リハーサルと本番の間に事前収録して放送しようと考えていました。
ところが、STARMARIE所属事務所の高谷社長から、28日(土)に丸井静岡店でのインストア・ライブを行うことになり、翌29日(日)は大阪での単独公演があるので、その流れで28日の番組はK-mix 本社 view-st.で公開生放送にできないか?と相談がありました。
私は高谷さんに「28日の放送は、ほぼ全編刑務所でのことを5人にお話ししてもらう予定でしたよね。生放送でそれができますか?」と逆に聞き返しました。すると高谷さんは一旦は「予定通り21日に録音する案で行きましょう。」と返信してきたので、私は「番組制作者としては、刑務所のことは生放送でお話しした方が断然説得力があると思うし、1週間の時間の猶予があれば、その間に5人それぞれが自分の考えをまとめることができるかもしれないですね。要はメンバー5人と高谷さんに『覚悟』があるかないかの問題です。」と高谷さんに決断を迫りました。高谷さんの最終的な答えは「28日に公開生放送で行きます。」というものでした。
私は丸井静岡店のインストア2ステージを観て、さらに丸井静岡店のスタッフと1時間ほどお話をし、STARMARIEが如何に凄い子たちなのか、STARMARIEに負けず劣らずのアーティストがK-mixにはたくさんいる、ということを熱く語り、ビジネス・チャンスを窺いました。
そして一足早く浜松へ戻り、寒いこの時節、いつもと異なってギャラリーを道路側からではなく、space-K側からご覧いただくための会場セッティングを行いました。その際、今夜メンバーが静岡刑務所の話を番組ですることを知って集まってくるファン、リスナーのために、少しでもこの場を楽しんでもらおうと思い、あることを思いつきました。「そう言えば、卓球用品メーカーから番組でその会社を紹介したお礼に、K-mixのロゴ入りの卓球台をいただき、space-Kの収納庫に置きっぱなしになっているけど、あれ、使ったことなかったんじゃないかな・・・?」そして「のんちゃんは学生時代、卓球やってたんだよな・・・。」ということが頭の中でピーンと結びつき、space-Kに卓球台とラケット、ピンポン玉を持ち出しました。のんちゃんがtwitterで上げた画像に写っているサインボードとともに。
19:30に開場してから、放送が始まる前の30分間、ギャラリーは卓球に興じていました。このことを内緒にしてあったのんちゃんがspace-Kに入り、みんなが楽しそうにプレイしていることを見るや否や「超、ウケるんだけど!」と彼女ははしゃぎ、番組が終わったあと、少しだけファンとメンバーを前にその腕前を披露して、space-Kは温かい空気に包まれました。

 

さて、12月28日の両番組を聴くと、6名が共通して思ったことはこんなことに集約されていたと思います。

 

● 刑務所はイメージとは違い、決して「暗く」も「寒く」もないところだった。
● どんな風に自分たちのステージを観てくれるのか?楽しんでくれるのか?と不安だったが、ほとんどの受刑者がしっかり顔を上げ、見つめていてくれた。
自分たちの音楽(歌詞とメロディー)がしっかりと伝わっていることをとても強く感じることができた。
これからの活動に向けて、とても貴重でうれしい経験ができた。
いつの日か、更生した受刑者と再会したい。

 

こんな6名の思いを受け止めた私は、年が明けた元日午前に2つの番組を録音したCDRを静岡刑務所と今回お世話になった静岡朝日テレビ、読売新聞、スポーツ報知のご担当者にお送りするにあたってのお礼状を書きました。自宅でのことではありましたが2020年の初仕事です。このブログをご覧いただいている皆さんに、今回の企画について私が思ったことを端的に知っていただける文章なのでは?と思いましたので、刑務所のご担当者である首席矯正処遇官の中濵さんにお送りしたお手紙をそのまま以下に掲載します。

 

静岡刑務所 分類教育部
首席矯正処遇官 中濵 雅則 様

前略

新年あけましておめでとうございます。

過日は「クリスマス音楽会」におきまして過分なるご配慮をいただき、改めて御礼申し上げます。

さて、本日は12月28日(土)に放送されました「Ritomo 電波上のニ点間」「STARMARIEのファンタジートラベラー」を録音したCDRをお送りいたします。

Ritomo、そしてSTARMARIEの木下望、高森柴乃、中根もにゃ、松崎博香、渡辺楓の6名が、12月20日に貴所を訪問し、受刑者を前にパフォーマンスを披露したことのご報告と、今回の件を初めて聞いた時に思ったこと、実際に刑務所の中に入り施設を見学させていただき、パフォーマンスをし、見たこと、感じたこと、考えたことについてお話しさせていただいております。

6名の話す内容については、最低限の事実の確認以外、私からは一切指示をしておりません。
しかしながら、私が想像した以上に6名は今回の経験を、これまでの自らの活動とこれからの活動とにしっかり結び付け、今回の件が如何に自分にとって貴重で大切なものであったか、ということを明確に、そして怯まず語っています。アーティストとして、表現者として、聴き手に寄り添うことの大切さ、自分たちの作り出す音楽がしっかりと聴き手に伝わっていること、を実感しているのが手に取るようにわかります。

手前味噌ではありますが、6名がこれだけのことを感じ、思い、考えたことを大変誇りに思っております。

受刑者の方の矯正・情操教育、更生のためのお手伝いができれば、という思いに加え、今回この企画をご提案させていただいたもう一つの理由が、若いアーティストが自らの活動指針を考え、音楽が如何に人の気持ちに染み渡り、聴く者の力となるのか?を身をもって知る機会となればと思ったからです。

こうしてその目的を達成できたのも、宮本所長、大谷部長、中濵首席、高雄統括、山下先生はじめ、今回の企画に携わっていただいた貴所職員の方々のお力添えがあったからこそ、と思うとお礼の言葉もございません。ありがとうございました。

これは甚だ勝手なご提案ですが、可能であればこの2つの番組を受刑者の皆さんにお聴きいただく機会を作っていただければ存外の喜びです。ご検討いただければ幸いです。

コンサートは無事終了いたしましたが、出演者やスタッフには「これで終わりではなく、受刑者が更生し、社会復帰した後、2組の音楽をCDや配信で聴いたり、番組を聴いたり、そして願わくはライブに足を運び、その感想をメールやSNS、あるいはライブ会場で直接伝えていただく、という場面に1回でも出くわした時にこそ、今回の企画が完全に終わるのですよ。」と私からは伝えました。

そんな日がいつか必ず来ることを願い、今回のお礼と代えさせていただきます。
また機会がございましたら、微力ながらご協力させていただければと存じます。

末筆ながら皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈りしております。

今回は誠にありがとうござました。

草々

令和二年元日

静岡エフエム放送株式会社
編成制作本部長 久保田 克敏

 

このお手紙を投函した後、中濵首席より「受刑者の感想文をお届けしに、お礼方々お伺いしたい。」とご連絡をいただき、実際に受刑者が書いた感想文のコピーをたくさん拝見しました。どれも丁寧に心を込めて書いたことが一目で分かるものばかりで、中にはまるで女性が書いたのでは?と見紛うような美しく繊細な筆跡のものもありました。


「こんな私たちのために若い女性たちがコンサートを開いてくれて嬉しかった。」
「華やかな雰囲気がいつもの生活を忘れさせてくれた。」
「歌声が美しく、ダンスも感激した。」
「一日でも早く更生、出所したいという思いが高まった。」
「社会復帰したら彼女たちの音楽にもう一度触れたい。」・・・。

 

 

 

さて、ここからは少しばかり裏話を。

以前昨年10月2日付のこのブログで「塀の中の放送局」とタイトルし、私と静岡刑務所の縁について書かせていただきました。実はこの文章を書き上げたのはこのブログを開設したばかりの7月のことでした。そして、この文章をどのタイミングでアップするかをずっと思案していました。このブログの最後の方で私はこんなことを綴っています。

今、私は強く思います。またいつの日か所内放送や講堂でのイベントをさせていただける機会があれば、と。K-mixの若いパーソナリティやスタッフにとって、必ずや「放送とは何か?」「リスナーと向き合う、とはどういうことか?」を考える貴重な機会になると思うので・・・。

7月にこう書いた時、ただ“思う”のではなく、“実施”することを念頭にどういう手順で話を進め、どんな内容で、誰を出演させるのがいいのかを考え始めました。
出演者についてはこの時点で、実際に出演することになるRitomoさん、STARMARIE、川﨑玲奈の3組であるべきだと確信していたので、3組の同意を得てすぐに決定しました。私は高谷さんにこの提案をすれば、絶対に共感してもらえると思っていたので、高谷さんがたった一言「やりましょう!」と書かれたメールで賛同の意を表してくれたことに大きな喜びを感じ、この企画の拡がりをさらに期待したいと思うようになりました。
そして、実施タイミングとしては準備期間のことも含め、やはりクリスマスの時期が相応しいと思い、12月を想定しました。
またこの取り組みについては実施後、単にK-mixの番組やWEBで報告させていただくだけではなく、テレビや新聞といった他メディアで取り上げていただくことで、より多くの方に知っていただく必要性も感じていたので、その点も企画書に盛り込みました(もちろん、この時点でどの社がどう取り上げてくれるのかは、決定していませんでしたが)。
企画書が出来上がり、私は静岡刑務所に連絡をしました。

ご存知の方はあまり多くないかもしれませんが、刑務官のうち幹部や上級職員は、同じ役職や施設にずっと居続けることによる弊害(同僚や受刑者との間の過度な馴れ合いや感情的な対立、閉鎖的な環境でルーティーンワークが毎日のように続くことによるマンネリ化、勤労意欲と能率の低下など)を抑制するため、2年~3年で異動をし、日本全国の各施設を転々とすることになります。
したがって、私が10年前に静岡刑務所で所内放送を担当していた時に、静岡刑務所で勤務していた幹部や上級職員は現在ひとりもいらっしゃらないのです(唯一、「刑務官」とは異なり、受刑者の更生教育を主な仕事とし、階級制度のない「法務教官」を静岡刑務所で務め、他の職員から「先生」と呼ばれている教育専門官の山下さんが、10年前と変わらずここで勤務されており、音楽会当日、久しぶりにお会いしてとてもうれしく思いました)。
実際に刑務所の担当部署に電話をした時に対応していただいた刑務官の方も、10年前のことはご存じなく、所内にもその時の記録や資料がわずかに残っているだけのようでした。
また、2019年に入ってから慰問イベントは既に2回行われる(1回は実施済み)ことになっており、3回目の開催については所内の関係各所間で検討する必要があり、少々時間をいただきたい、ということでした。私はじっとお返事を待つことにしました。
そして、静岡刑務所から12月20日に実施する決定がなされたという連絡をいただいたのが、まさに10月2日で、その日に下書き状態だった「塀の中の放送局」の記事公開ボタンをクリックしたのです。

すぐに静岡刑務所に伺い、打ち合わせを行いました。時間や内容、タイトル、行っていいことといけないこと、当日のスケジュール、観覧する受刑者の人数などなど、細かいところまで確認させていただきました。加えて当日ステージに上がる前に、彼女たちが刑務官からの説明を聞きながら、所内の施設を見学させていただきたいことも申し出ました。これをするのとしないのとでは、彼女たちのステージに上がる時の気の持ち様が全く変わるのでは?と思ったからです。

一方、テレビ局と新聞社の同行取材の件も進めなくてはいけませんでした。
新聞については先ずはスポーツ報知の小松雄大静岡支局長にご相談しました。小松さんは昨年初頭に「神谷宥希枝の独立宣言 ザ☆オーディションVol.11」について取材をしたいと申し出ていただき、その後、ここでRitomoさんがグランプリを獲ったら、ありえない紙面のスペースを割いて彼女を紹介してくださいました。さらにラグビーW杯日本大会のエコパスタジアム開催に合わせて、ユーミンの『ノーサイド』を絡めた企画で記事を制作したいので、何か良いアイデアはないか?と相談をいただき、そこから「Ritomo、松任谷由実『ノーサイド』をエコパスタジアムで歌う」というMV制作を私が思いつき、撮影の様子をこれまたさらに大きな紙面を割いて記事にしてくださいました。言わば小松さんは今や「Ritomoプロジェクト」には欠くことができない重要人物、強力なブレーンです。
そんな小松さんにこの企みをお話しし、スポーツ報知と同系列の一般紙、読売新聞の静岡支局長をご紹介いただけないか?とお願いをしました。もちろん、スポーツ報知にこの音楽会の記事が掲載されるのはうれしいことなのですが、企画意図や内容のことを考えると、一般紙で取り上げていただくことも大切だと思ったのです。小松さんはその意を汲み取り、読売新聞への橋渡しをしてくださいました。ちなみにスポーツ報知に音楽会の記事が掲載された翌日、小松さんは自身のtwitterでこんなことを呟いていらっしゃいます。

 

入社して四半世紀、初の塀の内側
物々しい警備体制、行進と整列、訓示・・・

リアルな緊張感を解してくれたのは音楽
人生を掛けて向き合う20代女性たちの歌でした

色々考えさせられるクリスマスになりました

 

この2段目の感想こそ、今回この音楽会の場に居合わせた第三者からの言葉として、私が最も欲していたものでした。

第三者と言えば静岡朝日テレビ報道部の女性記者Kさんもそのおひとりです。
11月25日付のブログである打ち合わせのため、私とRitomoさんが静岡朝日テレビに伺ってお話をした、と記しましたが、それはまさにこの音楽会の取材打ち合わせのためでした。
テレビ局、それも報道番組に同行取材していただきたいと思った時、まず真っ先に頭に浮かんだのが静岡朝日テレビでした。何故なら各局がしのぎを削る夕方の情報・報道番組の中で、(あくまでも個人的見解ですが)しっかりと構築された方法で、真摯に取材、報道しているのが静岡朝日テレビの「とびっきり!しずおか」だと思っていたからです。
Kさんはまだ若い女性報道記者ですが、今回の企画にとても興味を持ってくださり、私が「K-mixとしての取り組み」「私と刑務所との縁」という角度ではなく、若い才能がこの企画にどう臨み、何を思ったか?ということに是非光をあてて欲しい、とお願いをしたら、その意を汲み取ってくださいました。
音楽会当日は本番だけでなく、その前後に出演者のインタビューをたくさん収録して、放送時間もしっかり取って紹介したいと言ってくださいました。しかし、放送当日の12月25日、どこかの県知事が自らの「ゴロツキ」発言を謝罪する会見を行い、急遽そちらの報道に時間を取らざるを得なかったことなどもあり、予定されていた「クリスマス音楽会」の特集は大幅に縮小され放送されることになりました。Kさん自身は「消化不良」と言って、そうなってしまったことを悔やんでいるようでした。しかし、テレビ、ラジオの違いこそあれ、他局の企画にここまで興味を示していただき、丁寧な取材をしていただいたこと自体をとてもありがたく思いました。第三者によって若い才能の持ち主たちの姿や思いが切り取られ、それが視聴者に伝わることにより、出演者たちが自分たちの成したことを客観的に追体験できることが、今回の企画においてとても重要なことだと思っていたので、こちらも感謝の念に堪えません。
また音楽会の紹介VTRのナレーションを、この日を最後に「とびっきり!しずおか」を卒業し、静岡朝日テレビを退社されることになっていた広瀬真知子アナウンサーが担当されたことも、私の中ではとても感慨深いものでした。
これは私だけの少々穿った見方かもしれませんが、実刑判決ではなく執行猶予がつき、刑務所に収監されることさえなかったものの、麻薬取締法違反の罪を犯した大切な番組パートナー、自分のキャラクターをたくさん引き出してくれたパートナーに、「何やってるんだよ!」と正直な気持ちをぶつけ、そしてこれが原因で、静岡が誇るあの名番組が終了になることを、3月13日の「とびっきり!しずおか」で涙ながらに話していた広瀬さんの脳裏に去来したものは何だったのだろう?と思いました。

また、読売新聞の入社1年目の若手男性記者Sさんも、事前に私とRitomoさんに取材をするという用意周到ぶりで当日に臨み、入社以来一番胸躍る取材になると思う、と言って当日を楽しみにしてくれていました。Sさんはもともとラジオが大好きで、就活時代にラジオ局に入社することも考えたということで、K-mixをいつも聴いている、とも言っていました。
私はSさんから事前取材を受けた時、閉ざされた世界で生活し、自らの喜怒哀楽を表現することがほとんどできない受刑者にも、いやそんな環境で生活している受刑者だからこそ、美しいものに接して心を揺さぶられることへの欲求、つまり「美への飢餓状態」があり、そこへ音楽を届けることがどれだけ大切なことか、とお話しました。彼は「よく分かります。」と大きな理解を示してくれました。
ただ残念なことに、彼の気合、意気込みどおりに事はうまく運ばれず、たくさんのことを伝えなければいけない年末の時期の新聞において、音楽会の記事は彼の意思とは関係なく、とても小さな扱いになってしまいました。SさんもKさん同様それを悔やんでいましたが、ラジオ好きの20代前半の新聞記者に出会えたことは、それを補ってあまりあることだったと思ったのも事実です。

 

中濵首席へのお手紙にも書いたように、「クリスマス音楽会」は終わりましたが、この企画自体が本当の終わりを迎えるのは、更生した受刑者が社会復帰し、ひとりでもいいのでRitomoとSTARMARIEの音楽に接し、「クリスマス音楽会」で出会った音楽とアーティストに対して何を思ったのか?自分はどう変わったのか、を6名に伝えてくれる日がやって来た時です。

その時を彼女たちと待ちたいと思います。

 

         宮本祐康 静岡刑務所長とともに

 

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